教授ご挨拶

九州大学消化器・総合外科 教授

吉住 朋晴

Tomoharu Yoshizumi, M.D., Ph.D.

時代の変化に対応し、外科学の新しい知見を
世界に発信できる外科医を育成したい。

令和4年4月1日付で消化器・総合外科学教授に就任いたしました。九州大学の外科学教室は1903年に開設された日本でも有数の歴史を持つ教室です。消化器・総合外科(第二外科)では初代大森治豊先生から数えて私が第9代目の教授となります。輝かしい伝統を持つ教室を主宰する立場となり、改めまして身の引き締まる思いです。

私は1992年に九州大学医学部を卒業後、当時の九州大学第二外科に入局しました。外科修練の後、大学院で肝移植の研究を行い、医学博士号を取得しました。私が大学院3年生であった1996年に九州大学で生体肝移植が開始され、幸運にも以後九州大学で行われたほとんどの肝移植に携わってきました。2000年から米国マウントサイナイ病院に留学し、病院があったニューヨークで同時多発テロが発生するなど怖い思いもいたしましたが、2年間臓器移植を中心に手術の修練を行なってきました。帰国後も、九州大学と関連病院、さらに徳島大学でも修練を積み、肝胆膵癌及び肝移植手術を経験・指導して現在に至ります。

教室は開設当初から消化管さらに門脈圧亢進症を診療・研究の柱として、以後時代のニーズに合わせて血管、呼吸器、乳腺、肝臓、移植を診療・研究に取り入れてきました。現在は上部・下部消化管、肝臓・脾臓・門脈圧亢進症・肝臓移植、呼吸器、乳腺、末梢・大血管のグループに分かれ、診療・研究・教育を行なっています。複数の異なる臓器の外科治療が必要な疾患にも臨機応変に対応することが可能です。

教室からはいずれの分野におきましても、これまで数多の有為な人材を排出しており、教室の内外から今後のさらなる発展に向けて大きな期待を寄せられています。私たちの教室訓は「一に人格、二に学問」です。この教室訓を核としつつ教室で行ってきた診療・研究は時代とともに変化してきました。「唯一生き残るのは変化できるものである」と言われています。教室の伝統にとらわれず時代の変化に対応しながら、今後の診療・研究を進めていきます。私たち九州大学消化器・総合外科が日本の外科学において果たす役割は極めて大きいと考えています。これまで同様に世界に情報を発信し続け、患者さんにはわかりやすく、紹介医には信頼される医療を提供し続けます。

全国の外科医志望者数が減少を続ける中でも、これから外科医を志してくれる若い医師の存在は極めて重要です。私が教室の一員として学んできた経験を余すことなく伝え、自己研鑽を続け外科学の新しい知見を世界に発信できる外科医を育成したいと考えています。最高の環境で外科医としての修練を積みたいと希望する医学生・研修医の皆さん、常に扉は開かれていますので、いつでもご連絡ください。同門一丸となって最高の指導を行い、プロフェッショナルな外科医になっていただけるよう育成します。

教室同門の皆様には、私自身がそうであるように、消化器・総合外科(第二外科)に所属する誇りを皆様が持っていただけるよう、教室を発展させていく所存です。今後とも変わらぬご指導とご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。