乳腺外科

About us

乳腺グループでは、乳がんをはじめ、乳腺の良性腫瘍など、乳腺に関する病気全般について診療を行なっています。乳がんは女性が最も多くかかるがんであり、9人に1人が乳がんになると言われています。乳がんの治療においては、手術はもちろんのこと、抗がん薬やホルモン療法、分子治療薬などによる薬物治療、放射線療法などさまざまな治療を適切に組み合わせて行うことが大切です。私たちは、病気の特性だけでなく、個々の患者さんやご家族の状況にも考慮し、患者さんとご家族が、最適な治療を、少しでも前向きな気持ちで受けていただけるよう努力しております。

対象疾患

  • 疾患名1:乳がん
  • 疾患名2:乳腺葉状腫瘍
  • 疾患名3:遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC syndrome, 以下HBOC と記載する)

疾患内容 1[乳がん]

乳がんの治療は、手術、薬物療法(抗がん薬、ホルモン療法、分子標的薬)、放射線治療を組み合わせて行います。乳がんのタイプと病期(進行状況)、そして患者さんの状況も考慮し、医療者と患者さんと一緒に治療方針を決めていきます。手術については、乳房に対しては乳房全切除と乳房部分切除があり、脇(腋窩)のリンパ節に対してはセンチネルリンパ節生検と腋窩リンパ節郭清があり、病状によってどの術式がよいかを決めていきます。早期乳がんに対しては、形成外科と協力して、乳房再建も行っております。薬物療法は、患者さんによって最適な治療法が異なります。最適な治療方法を決める上で重要な多遺伝子アッセイ(OncotypeDXⓇ)やBRCA1/2遺伝子検査も行っています。個々の患者さんに応じて最適な治療を提案できるよう努めています。

疾患内容 2[乳腺葉状腫瘍]

乳腺葉状腫瘍は、乳腺腫瘍の1%未満と比較的稀な疾患です。2-3cmで見つかることもあれば、大きいものでは受診時に10cmを超えていることもあります。急激に増大するといった特徴があります。良性、境界病変、悪性とに分類され、悪性の場合、非常に進行が早く、治療が奏効しないこともあります。75例以上の報告をまとめた2013年の葉状腫瘍5,530例の報告では,良性,境界病変,悪性の比率は52,13,35%で,平均観察期間5年における局所再発率はそれぞれ15,17,28%(平均19.1%)でした。2015年以降に報告された285例(良性191例,境界病変61例,悪性33例)の報告では、5年局所再発率はそれぞれ5.0,13.1,18.0%と約10%低下しています。良性でも局所再発し、再発するごとに境界、悪性と性質が悪化するとされており、治療法は外科手術による完全切除が大切です。当科では、完全切除を最優先としつつ、できる限り整容性を考慮した手術を行っております。

疾患内容 3[遺伝性乳癌卵巣癌症候群:HBOC]

HBOCは、BRCA1またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列の変異に起因する乳がんおよび卵巣がんをはじめとするがんにかかりやすい症候群です。BRCA1/2遺伝子検査を行い、BRCA1/2に変異があることがわかった方は、十分な説明および遺伝カウンセリングを受けた上で、ご希望に応じてリスク低減乳房切除術(risk reducing mastectomy:RRM)を受けることが可能です。これまで、BRCA1/2遺伝子検査、RRMともに自費診療でしたが、最近になりBRCA1/2遺伝子検査、RRMともに保険診療となり、当科でも行っております。

実績

乳腺グループでは、年間約100-140例の手術を行っております。手術だけではなく、周術期薬物療法や、転移・再発乳がんに対する治療も行っております。放射線治療、乳房再建は放射線科、形成外科と協力して治療を行っております。